アルコール性認知症の治療法
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断酒
アルコール性認知症の治療法としてまず挙げられるのは、お酒を断つことです。病気の原因であるアルコールを根本から断たなければなりません。断酒によって脳へのダメージを抑えて症状の進行を遅らせます。長期間断酒することによって、認知機能が改善するケースも少なくありません。ただし、他の認知症を併発している場合は、断酒だけで症状が改善されるとは限りません。自力で断酒するのが難しい場合は、入院や自助グループへの参加が必要になります。いきなりお酒を断つことが難しいのであれば、適切な飲み方で徐々に飲酒量を減らしていきましょう。
食事療法
食事療法もアルコール性認知症の治療法に含まれます。ビタミンB1の不足がアルコール性認知症を引き起こす原因になるので、ビタミンB1を多く含む食事を積極的に摂る必要があります。豚肉やレバー、乳製品、卵などがおすすめです。また、葉酸が含まれるホウレン草やブロッコリーもいいでしょう。
薬物療法
アルコール性認知症の治療における薬物療法は、アルコール依存症と認知機能障害の改善を目的に行われます。アルコール依存症に対しては、ニコチン酸やジスルフィラムなどの薬剤を用いてアルコールの摂取量を減らします。認知機能障害に対しては、ドネペジルやメマンチンなどの薬剤が用いて神経伝達のバランスを整えます。薬物療法を実施する際は、副作用に対する知識も必要です。ニコチン酸は肝障害や高尿酸血症を引き起こすリスクがあり、ジスルフィラムはアルコールを摂取すると重篤な反応を引き起こします。ドネペジルは吐き気や下痢、メマンチンは頭痛や眩暈といった副作用があるため、薬物療法は医師の指示を基に慎重に行わなければなりません。
生活習慣の改善
正しい生活習慣を身につけることも、アルコール性認知症の改善につながります。早寝早起きや適度な運動によって、身体を健康に保たなければなりません。自宅にいるとついアルコールに手を伸ばしてしまうのであれば、外出する機会を増やすといった工夫も必要でしょう。お酒を口にしない生活習慣を意識的に取り入れることで、アルコール性認知症の進行を遅らせます。
まとめ
以上が、アルコール性認知症の治療法です。若い人も発症する可能性はありますが、高齢者は他の認知症と併発するリスクが高いのでより一層注意しなければなりません。他の認知症と併発した場合、治療が困難になります。アルコール性認知症は予防が可能な病気なので、日頃から適切なお酒の飲み方や正しい生活リズム、栄養のバランスがいい食事などを意識することが大切です。
新しい環境に移りたい人へ
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限界を感じるなら転職しよう
アルコール性認知症の高齢者を支えるのには覚悟と根気が必要です。度重なる暴言などによって、限界を感じている介護士もいるでしょう。その場合は、無理せず転職して環境を変えることをおすすめします。