問題点の1つとしてアルコール依存症の高齢者が増えている

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深刻化する高齢者の飲酒問題

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年々深刻化している

高齢者の飲酒問題は年々深刻化しています。2013年に行われた厚生労働省研究班の調査によると、危険性の高い飲酒を行っている人の割合が65~69歳男性で約25%、70代男性で約20%もいることが判明しました。70代男性の割合に関しては、過去に行われた調査よりも高くなっています。人口全体における高齢者の割合が高くなるにしたがい、アルコール依存症の高齢者も増えています。全国にある専門治療施設を対象に行った調査でも、2007年の時点で男性受診者の4人に1人は60歳以上の高齢者であることが判明しています。断酒を目的にした自助グループの統計では、会員数全体における60歳以上の比率が年々増加しており、2017年の時点で約60%になっています。

年々深刻化している

身体への影響が大きい

高齢者は少量の飲酒でも身体への影響が大きくなります。体内に含まれる水分の割合が低いので、アルコール血中濃度が増加しやすい傾向にあります。血中濃度が通常でも中枢神経のアルコール感受性が増加するため、酩酊や転倒などのリスクが高まります。多量のアルコールを体内に摂取すると、潰瘍や出血、肝硬変、肝不全、息切れ、がん、栄養不良、バランス感覚の欠如、記憶喪失、脳卒中、睡眠の質低下などといった健康上の問題が起こります。全ての人に起こるわけではありませんが、飲酒量が増えれば増えるほどリスクは高まります。

ライフスタイルの変化が原因

高齢者はライフスタイルの変化によって飲酒量が増加し、アルコール依存症になるケースも少なくありません。特に多いのは定年退職を機に飲酒量が増えるケースです。高齢者になり自由な時間が増えたことがきっかけで、飲酒の機会も多くなります。また、家族との死別や生きがいの喪失、孤独感などがきっかけになることも多いです。
若い頃からお酒が好きだった高齢者は特にリスクが高くなります。高齢者になっても飲酒の習慣が抜けず、むしろ時間が余ったことによって以前よりも飲酒量が増えてしまいます。加齢によってアルコールへの耐性が弱くなっている状態で飲酒量が増えれば、当然ながら健康上の問題が起こってしまいます。

認知症との関係

高齢者がアルコール依存症に陥ると、アルコール性認知症になるリスクが高まります。入院中のアルコール依存症患者に対して行った調査によると、60歳以上の患者の約18%はアルコール性認知症の疑いがあることが分かりました。加えて、約25%の患者は軽度認知障害があり、危険な状態となっています。認知症の原因は様々ですが、アルコールによって脳がダメージを受けて脳萎縮が進行し、それがアルコール性認知症を引き起こしていると考えられます。

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